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獣害対策

ここ佐野市下秋山地区はイノシシ、シカやサル、ハクビシンといった獣の害に悩んでいる地域です。2000年代の初頭にイノシシやシカが出没し始め、そのうちサルやハクビシンなどの害も問題になるようになり、現在に至っています。我が家の田畑のほぼすべては防護柵で囲っています。
 自治会の産業部長を引き受けたのがきっかけで、地域ぐるみの獣害対策に2010年より取り組み始ました。佐野市下秋山町会という自治会ですが、獣害対策のモデル地区に指定され、住民、行政、研究機関などが協力して様々な取り組みを始めました2011年には獣害対策のモデル圃場を設置。イノシシやシカ、サル、ハクビシンにも対応した柵を作り、近所の方6人と野菜づくりを始めました。
 2年間宇都宮大学に通い、2013年には鳥獣管理士の資格を取得しました。


獣害対策の基本



人類は3万年前に日本列島に入ってきました。イノシシは30万年前。つまり、イノシシの方が人類よりもずっと前に日本列島に入ってきました。私たちの先祖は絶えず野生動物と闘って来たのです。明治という特殊な時代に多くの獣の生息域が縮小、あるいは絶滅しました。最近になって野生動物の生息域が回復しつつあります。
 獣害対策をしなくてもよい時代が明治から100年くらい続いたので、被害にあう方はきっと、こう思うでしょう。対策をしなくても良い時代に戻したい。私自身もそう考えました。しかしながら、きっとそういう時代は近い将来には来ないと考えていただくほかありません。農家が病虫害の対策を当たり前のようにするように、獣害対策もするような時代に突入したのです。頭の切り替えが出来るかどうかが大きなポイントです。捕獲、捕獲の対策はうまくいきません。



獣害対策はある程度の対策手法は確立されています。問題はその対策手法を各集落で実践できるかどうかにかかっています。
 獣害対策のうまくいっている地域を真似すればいいのです。うまくいっている地域は以下の順番で対策しています。


①みんなで勉強
②守れる集落、畑 獣のエサやすみかをなくしていく
③自分で行う囲いや追い払い
④駆除や大規模柵
うまくいっていない地域は捕獲中心。捕獲に頼るばかりの対策はうまくいかないようです。
近年での集落には野生動物にとって魅力のある餌が豊富にあります。
怒られるエサ
農作物 米・麦・大豆・ソバ・野菜
怒られないエサ
ヒコバエ
•キャベツ、白菜などの外葉
•放棄果樹
•タケノコや竹の地下茎
•雑草
まずはこれらの餌を集落からなくしていかなければ、いたずらに野生動物を増やすだけになるでしょう。
餌を減らすことができたら、田畑に柵を設置。
以下のように設置します。

忌避材は長期的な効果はないと考えていただければと思います。
•ラジオ
•ソーラーライト
•木酢液やクレオソート、髪の毛など
•オオカミの尿
 獣害対策の適切な知識をできるだけ多くの住民と共有していければ、きっと獣害対策はうまくいくと思います。獣害対策を契機として地域活性化がはかれれば最高です。ピンチはチャンスです。










獣害対策のモデル地区


2010年より獣害対策のモデル地区に指定され、住民、栃木県・佐野市(行政)、東京農工大・宇都宮大(研究機関)が力をあわせて様々な取り組みを実践してきました。
具体的には以下の通りです。
•集落点検






•勉強会・研修会(ビデオ・講演)




•耕作放棄地の刈り払い(夢大地応援団)




•里山林整備事業(山すそ)


•ワイヤーメッシュ張り


•竹の伐採




•秋山憩いの畑(モデル圃場)






モデルほ場  秋山憩いの畑


「秋山憩いの畑」という名のモデル圃場を設置しました。地域の人、6人で共同の畑を週1回、耕しています。イノシシ・シカ・サル・ハクビシンを防ぐことの出来る複合柵を設置。







複合柵








新聞記事



おすすめ本


これならできる獣害対策 井上雅央著 農文協





動物による農作物被害の総合対策 江口祐輔監修 誠文堂新光社