ハーフセルフビルドの土壁の家づくり

 関塚農場では2009年よりハーフセルフビルドによって家づくりを行いました。まず、練習もかねて延べ床15坪の研修棟を建設。その後、延べ床50坪の母屋に挑戦。定年退職した父が手伝ってくれました。素人二人で建てた、その時の様子を写真とともに掲載します。ほぼ完成したのは2013年ですので、5年ほどかかりました。

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 我が家の特徴は主に以下の3つです。
幸福を生む住まい
竹小舞下地の土壁
自然エネルギー

幸福を生む住まいとは

冨田辰雄氏が確立した住宅理論。興味のある方は「住宅ルネッサンス」という本をお薦めします。ぜひ、ご一読ください。我が家の一番の特徴といっても過言ではありません。(株)オグラ 幸林ホーム主催の勉強会に行ったのがきっかけで、「幸福を生む住まい」の考え方に出会うことができました。非常に有機的な考え方に基づく理論で、いかに暮らす人々が健康に過ごしていけるのかを追求し、光と風と土の恩恵を上手に家の中に取り入れようとしています。ものすごくおすすめです。この家の根幹を構成しています。

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 今日主流となっている、高気密高断熱ではなく、通気通風のよい住まい。人間には新鮮な空気の循環が必須なのです。通風の良い住まいでは、エアコンも不要。下の設計図は設計段階で風の通りを十字に通るように考えていることを示しています。

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 欄間をふんだんに活用。雨の日でも通風がよくなるような工夫です。
 紫外線、赤外線などの太陽光線を上手に使い分けて、間取りを考えます。例えば、殺菌力に優れた紫外線(朝日)がふんだんに台所に入るような配置にします。昔から「子育て窓は北窓」と言われたように、子供室には、日当りが良すぎるのも考えもののようです。

また、冬には日光が十分に入り、ぽかぽかと暖まるようにします。

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 日本の伝統的な軸組構法で無垢の木をふんだんに利用します。

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 今日ではベタ基礎といって、コンクリートで全面を固めてしまう基礎が主流です。しかしながら、土の恩恵を十分に得ることができるように、土をむき出しにした布基礎をできる限り採用します。「天空の城ラピュタ」というアニメ映画にもありました、「土から離れては生きられないのよ」。

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 人間がなるべく健康に生きていくために、自然の恩恵を上手に取り入れようという考えかたがまさにここにあります。
「幸福を生む住まい」については是非、(株)オグラにお問い合わせください。勉強会も随時開催中です。

ハーフセルフビルド

解体
築100年くらいの茅葺き屋根にトタンを葺いた小さな家を解体することから始めました。父がほぼ1人でコツコツと3ヶ月かけて解体。最後はトラクターで引っ張って家を倒しました。

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設計
上記の「幸福を生む住まい」の考え方を仕組んだ家づくりに、どうしてもしたかったので、設計は(株)オグラ・幸林ホーム(福島県)にお願いしました。アドバイスをいただきながら、これだ!という計画になりました。

研修棟
 研修生やウーファーが寝泊まりできるように建築。研修棟は基礎から自分たちで施工。構造材はプレカットで刻んでもらいました。建て方は仲間の力をお借りし、ユニックを借りて、一日で何とか行いました。屋根は波板トタンを自分たちで葺きました。壁は竹小舞下地の土壁。刻みのプレカット以外はセルフビルドです。

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基礎工事
バックホーで穴を掘り、割り栗石を並べ、鉄筋を切って曲げ、コンパネで型枠を作ってと、とても根気のいる作業が続きました。

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母屋
こちらはハーフセルフビルド。職人の方に基礎、構造材の刻み、建て方、屋根までをお願いしました。刻みは伝統的軸組構法なので、大工さんの手刻みです。100年、200年持つ家になりました。それ以降の大工、左官、給排水設備、建具、電気などの工事を自分たちで行いました。基本的に素人ですが、専門書を読みあさったり、職人の方に聞いたりして、何とか施工しました。今日では電動工具など道具が充実しているので、知識と時間さえあれば、セルフビルドはなんとかなると思います。ただし、とんでもない時間がかかります。これくらい時間がかかるだろうという予測もあまりあてになりませんでした。

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材料
基本的に木と土と草でつくる。
材木は国産材を使用。合板、集成材なし。人口乾燥の無垢材なし。

土台 カラマツ 栗
 杉 カラマツ ケヤキ キハダ
 赤松 杉
 杉 青森ヒバ
床材 赤松 カラマツ 
その他 カエデ ヤナギ ケンポナシ 桜 イチョウ ヒノキ タモ ミズナラ ヒメコマツ ネズコ セン 

竹小舞下地の土壁の家

なるべく自然な材料で家を作りたい、家を作る前から漠然とそう思っていました。家の中の湿度を調節してくれ、火事にも強く、リサイクルの究極のような土壁の家。自分の家もそんな風に作りたいという願望が自分をつよく揺り動かしたようです。
 竹小舞下地の土壁ばかり施工している左官職人(加藤左官工業)におそるおそる相談。技術指導してくれるとのこと。粘土と稲藁の混ぜ方から、竹小舞かき、荒壁塗りまで教えていただきました。稲ワラには我が家のもの、粘土は瓦屋さんからいただきました。
 真竹は近所から採取。父がほぼひとりで割っていきました。

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竹小舞かきと荒壁塗りはワークショップで多くの方に手伝っていただきました。のべ160人もの方に参加いただきました。ありがとうございました。竹小舞は壁を塗ってしまうのがもったいないくらい、きれいでした。自分たちでできてしまうのが不思議でしたが、ただただ感動。

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 中塗りとしっくい塗りは自分たちでなんとか仕上げました。それなりの仕上がりですが、、、。

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外壁


下見板張りで施工。材料は杉の5分板。良く聞かれる質問ですが、杉にはなにも塗布していません。柿渋などの塗料を塗布するという選択もありますが、数年ごとに塗布を繰り返さなければならず、その手間と予算の関係で多くの方はメンテナンスしないと聞きました。プロの勧めもあり、どうせできないならと、初めから無塗装です。何も塗布しなくても無垢材は強く、数十年は持つと考えています。

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階段

 父が1人で施工。階段はセルフビルドのなかで難関の一つです。ささら桁階段で作りました。踏み板は赤松とイチョウを用いました(厚み1寸5分)。

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給排水設備


生活用水には井戸水を使用。井戸は業者の方に掘ってもらいました。掘ってもらった後は、ポンプの設置、給水管、排水管の設置を自分たちで施工。

生活雑排水処理装置 ニイミトレンチの設置


電気の力を使わず、微生物の力を利用して、雑排水をきれいにします。土壌の中の生物の生存する領域は地表面下ほんの数10㎝の土壌圏と呼ばれる土壌空間であり、その土壌空間に汚水を浸潤させ、浄化する方法。セルフビルドでも比較的簡単に施工できました。我が家の糞尿以外の生活雑排水はこのニイミトレンチで浄化しています。

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建具づくり

 セルフビルドでもなかなか建具づくりまで手を出す人はあまりいないようですが、どうしても木製の建具に囲まれたくて、自分で作ってしまいました。家具つくりと同じようにコンマ1mmの世界です。しなしながら、道具を駆使すれば素人にも作ることが出来ます。材料は基本的に柾目材を用います。ガラスは取り壊す家からアルミサッシをもらって来て、そのサッシのガラスを切って使用。

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台所


ステンレスシンクを注文し、その他は手づくりしました。引き出しや開き戸を製作。台所のすぐ向かいにカウンターを設置。柳の一枚板を用いました。

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便所 手洗い鉢

関塚学の母が趣味で陶芸をしています。手洗い鉢を作ってもらいました

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五右衛門風呂の設置


ダイワ鋳物ホーロー「直焚」浴槽を設置。築炉ユニットを活用して作りました。いまだに五右衛門風呂の浴槽とユニットが販売されていることに感激。下からぽかぽかと暖まる五右衛門風呂の風呂は最高です。

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薪ストーブの設置


炉台、遮熱壁や煙突の設置を自分たちで行いました。炉台は大谷石。遮熱壁はレンガ。煙突の設置に苦労しました。一部板金屋さんにもお願いしました。

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囲炉裏の設置


框にケヤキを用いました。厚みが3寸5分もある材料だったので、加工が大変でした。これだけの材料になると完全に近い直方体が私の技術ではできなかったので、ほぞ加工はあきらめ、あまり良くないかもしれませんが、ビスケットで継ぎました。フローリング材は赤松の1寸もある厚板を使用。煙が抜けない問題も発生しましたが、なんとか解決。


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たたき土間

 昔ながらのたたき土間を作りました。材料に粘土、消石灰、塩化カルシウム、にがりを使用。材料を混合するのが大変でした。混合したものを叩いていきます。15㎝盛ったものが叩いて10㎝になります。

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道具

道具の多くはヤフーオークションで中古を購入しました。
主な道具は以下の通りです。
トリトン ワークセンター2000
自動カンナ
角ノミ
ルーターテーブル
手押しカンナ
電気カンナ
インパクトドライバー 2台
丸ノコ 2台
サンダー

参考にした本

以下の2冊の本が一番参考になりました。この2冊の本を読むと専門書も理解できるようになりました。


自分で我が家を作る本 氏家誠悟著 山と渓谷社

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100万円の家づくり 小笠原昌憲著 自然食通信社

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幸福を生む住まい

住宅ルネサンス 冨田辰雄著 光雲社

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土壁

マンガで学ぶ木の家・土の家 小林一元・高橋昌己・宮越喜彦著 井上書院

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階段

木造階段の工法 佐藤日出男著 理工学社

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ニイミトレンチ

土壌浄化法の実際 毛管浄化研究会編 経済調査会

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建具・家具づくり 

以下の本が建具づくりに多いに役立ちました。
木製建具デザイン図鑑 エクスナレッジ

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はじめての家具づくり 加藤晴子著 山海堂

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囲炉裏

囲炉裏と薪火暮らしの本 大内正伸著 農文協

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たたき土間

農家に教わる暮らし術 別冊うかたま 農文協

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